⾷⽂化・料理研究家・⾷育アドバイザー
中村 和憲(なかむら かずのり)さん
「幸せの種まき」をライフワークとして愛媛県内を中⼼に活動。南海放送tv料理コーナーを16年務め、現在も不定期で出演中。
県産品を活⽤した商品開発、メニュー監修等に広く携わり、各種商品プロモーション企画等多数。コロナ禍においてマダイ
、スマを使った学校給⾷レシピ開発をはじめ、「えひめのおさかなレシピ」を監修。
愛顔の⼦ども⾷堂アンバサダーとして⽣産者⽀援と⼦どもたちの⾷育に広く関わっている。
海を守るために⼀⼈ひとりが今できること
海は全ての⽣物の⺟。38億年前に地球で最初の命は海で誕⽣し、進化を遂げて今につながっています。命は命からしか⽣まれません。つまり私たちの命は38億年⼀度も途切れていないということなのです。そんなすべての命のふるさ
とである海が今多くの課題を抱えています。たとえば海⽔温の上昇。さかなは変温動物なので⽔温が1℃上昇することはその命に⼤きな影響があります。そしてごみの問題。1年間に約850万トンものプラスチックが海に流れ込んでい
るといわれ、このままの状況が続けば50年後には海の⽣物よりプラごみの量が上回るとさえ⾔われているのです。
私たちの住む愛媛県は農業や漁業などの第⼀次産業がさかんなふるさとです。美しい海、⼭など豊かな⾃然に恵まれているおかげで、昔から多くの⼈々が「安⼼でおいしいものを作ろう」と、まじめに⼀⽣懸命取り組んでこられた⻑
い歴史があります。⼭が豊かで美しいと豊かな海になります。⾃然はすべてつながっているので、私たち⼀⼈⼀⼈が⽇常⽣活の中でできることを考えて取り組めば地球を守ることができるのです。今回の学習を通してどんなことがで
きるかぜひ考えてみましょう。
そして、海の恵みをいただくことはそうした「命のサイクル」を守ること。⿂を⾷べて摂れる海のミネラルは私たちの体の機能を⾼め、命を輝かせてくれます。海はすべての命の源なのです。
さかなは「天然」と「養殖」があり、「育てる漁業」を養殖と呼びます。⿂を獲り続けるだけだと少なくなってしまうので、地球上にこれだけ⼈⼝が多くなった今、育てることもとても⼤切です。
「漁に出ること」も「育てること」どちらもとても苦労があります。養殖は「いのち」を育てるお仕事なので、まだ⿂が⼩さいうちからずっと餌をあげなければ⼤きくなりません。暑い⽇も寒い⽇も毎⽇⽋かさず船でいけすに⾏って
たくさんの餌を与えています。真冬の海の上は波もすごいけれどとにかく寒い。体感温度は0℃以下。あまりの寒さに凍え、「本当に⼤変なお仕事だ」と実感しました。育てることってそういうことなのですね。私たちももし、ごは
んを⾷べられない⽇が1⽇でもあったらどうでしょう︖きっとおなかがすいてたまらないですよね。こうして⾃分のことに置き換えて考えると⾷べることってとても⼤切だとわかります。まさに「⾷べることは⽣きること」なのです。
こうして、⾷べ物の物語を知ることで「ありがとう」という感謝の⼼がわいてきますね。⾷事の前にするあいさつは、もともと本当は「『いのちを』いただきます」という⾔葉でした。そして、⾷事が終わったときのあいさつ「ごち
そうさま」には、私たちの⼝に⼊るまでに関わってくれた多くのひとたち=育ててくれた⼈、運んでくれた⼈、販売してくれた⼈、料理を作ってくれた⼈・・・に感謝をする素敵な⾔葉です。「いただきます」「ごちそうさま」と⼤
きな声に出してあいさつすることはいのちを輝かせる魔法のことばだと思います。
私たちの体も⾷べたものでできていきます。多くの⼈が⼼を込めたお仕事で今⽬の前にある⾷べ物をみんなで楽しくいただいて元気いっぱいの体と明るい⼼で素敵な未来をつくりましょう。
愛媛県農林水産研究所水産研究センター主任技師
松岡 学(なかむら さとる)さん
主に魚類養殖業に関する試験研究や研究成果の広報・普及活動を担当してきました。趣味は魚釣りで、竿を使わずに大きなマダイとのやり取りを楽しむ手釣りが大好き。
マダイは魚の王様。王様と言われるのには、たくさんの理由があります。また、愛媛県の海は天然マダイ、養殖マダイともに日本有数の産地です。これを機会に、魚の王様マダイと愛媛県との関係について勉強してみましょう。また、海の環境にも興味をもって、自分たちに何ができるか考えてくれるとうれしいですね。
(株)タイチ代表取締役
徳弘 多一郎(とくひろ たいちろう)さん
従来の養殖漁業とは一線を画した養殖マダイのブランド「鯛一郎クン」を2003年に立ち上げる。以降も研究を重ね、環境に配慮した持続可能な養殖技術を追求し続ける。
環境を汚すと言われた養殖業ですが、それはその通りかも知れません。ですが、養殖でしか出来ない事もあるはずです。エサの中の環境を良くするものを入れてエサをやると逆に環境が良くなっていく・・・汚染源を浄化源に変えてしまうような技術が出てくると思っています。その時には養殖が海をきれいにすると言って頂けるようになるのだと思っています。今もそんな事を考えながら養殖に関わっています。
愛媛県漁業協同組合宮窪支所運営委員長
關 洋二(せき ようじ)さん
幼少期から漁に出て天然魚を捕獲していた生粋の漁師。天然マダイの習性や食性を徹底的に洗い出し、確実に多くのマダイを捕獲する能力は愛媛県でもトップレベル。
宮窪の天然マダイは江戸時代お殿様に献上され、庶民の口には入ることのない貴重な魚でした。天然ならではの魚体の美しさと潮流の早い宮窪で育った天然マダイに触れてください。みなさんに愛媛のマダイを学んで発信してもらうことで漁師さんのやる気にもつながります。愛媛のマダイをみんなで応援してください。
特定非営利活動法人今治シビックプライドセンター
三谷 秀樹(みたに ひでき)さん
平成19年より、今治市みなと再生プロジェクトに関わる。平成21年より、今治シビックプライドセンター事務局として活動し、新しくなる港の賑わい創出を主な仕事とする。平成27年特定非営利活動法人今治シビックプライドセンター設立と共に、今治の海の人材育成をライフバークとする。近年は海ごみの他、環境を主とした事業を展開し、今年度から「今治アマモプロジェクト~海の中に草原をつくる~」を開始し、今治市内の親子とともに活動を展開。子どもさんらの、街との関わり、海との関わる機会を創出することで、街の事、海の事を知る機会を創出し今治市への誇り、”シビックプライド”を醸成する活動を続けている。
「海は広いな、大きいな」ってのどかな海の時代は終わっているのかも。昔話の浦島太郎に出てくる、竜宮城のイメージも変わっているのかも。海と陸と違って環境が見えにくく、皆さんに届いた時には既に遅いかも。「海」を見てくだい。「海」の声を聴いてください。違った「海」が見えた時、アクションをおこしてください。